病院実習を終えて

もう先週末の話ですが、病院実習が終わりましたヽ(* ´∀｀*)ノ。
１月の初め、楽しみ８割、憂鬱だったり若干怖気づく気持ち２割で臨んだ実習でした。
少なくとも私は、調剤薬局で薬剤師ができることの限界を感じていました。病院に期待をもつものの、薬局といい意味で違っているのだろうか、本当に薬剤師って役割を持てるの？って心配になったり、将来の安定性だけを振りかざして薬学部に半強制的に入れてきた家族に不穏を抱いたりもしました。

正直、ずっと引きずっていたものがあったのよね。
「どうして医学部じゃないの？」って聞かれて、私は注射針も大丈夫だし血液を見るのも大丈夫、でも皮膚系に症状が現れる疾病だけはどうしても抵抗が抜けなかった。冊子の家庭の医学も軽い気持ちで開けないんですって話をしたけど、もしかしたら勉強を頑張れなかったり、友達と争いたくなかったが故の言い訳なのではという気がしていた。この４年間、薬剤師の現状について知れば知るほど嫌になった。ドラッグストアにいる薬剤師には嫌悪感すら覚えた。もちろん何かを質問すれば、私より知識はあるのだろうけどね。
本当は医師を目指す道の方が自分には合っていたのかもとも思った。いくら勉強しても自分がしていいことに制限のある人生は嫌だったから。
どうしても医師ありきの薬剤師というイメージは抜けないし、正直「薬剤師って何やってるの？」って人が医療人以外ではほぼ全員だろうし（私も１年前までは迷いなくそう思っていた）、登録販売者も出てきて、本当にどうすればいいんだかって感じ。私こんなんじゃ医師への劣等感が一生抜けないなって覚悟までした。その上で定年まで頑張る使命なのかと。



でも11週間を終えて、私からそんな気持ちは全て消え去った。
今まで医療人というより、何度か経験している患者の立場でしか物事を見れていなかったんです。医師は患者にとっては神様のように見えるけど、本当はそんなに完璧な人間じゃない。例えば、オペの腕がとても評判な先生がいたとする。手技については私たちの範囲外なので分からないし、意見を述べるべきでもないけれど、その先生が１万を超す薬の中からその患者に、本当の意味で一番よい薬の組み合わせを選べるとは必ずしも思わない。

事実、オペ後は同じオペをした患者になら同じ薬を出される定型処方が基本になっているし、９割の患者にとっては不満はないかもしれないけど、もしかしたら１割は何かを我慢しているかもしれない。不満はないのだとしても、症状のない検査値異常があるかもしれないし、「これがその患者にとって一番の薬ではないかもしれない」って可能性は残る。それは何も聞かなければ分からない。無視して通りすぎることもできるけれど、その程度の人間なんてたかが知れてるよね。
それは薬だけに限らない。薬剤師だから薬以外のことはできないなんて、そんなことは決してなくて、食事とか生活にアドバイスをあげるのと同じように、その患者が置かれている環境を一緒に考えることはできる。
そういうものが医療人だと思うの。どこで働いていたって薬剤師ならみんなそう考えられないといけないんだよ本当は。このまま全くそれに気付けない薬剤師が少しでもいるのなら、もうその時点で何十年後、薬剤師という職業が消えていても仕方ないと思う。


それと同時に、患者にとっての「一番の治療」には全て根拠があるってことも学んだ。
今までほぼ感情で生きてきてしまった節があるけれど、誰かと一緒にその人への一番を考えるには医学薬学分野で理論的であることが必要。（論理的、だと結論が先に来ちゃうみたいなのでだめっぽい＼(^o^)／）　根拠がないのに、もしくは周りに自分の考えも伝えられないのに一番！なんて言い張ることはできない。
もしかしたら患者さんが、感情的だったり激情したり落ち込んでいることもある。理論的というのは、すべて定石に沿わなきゃ、型にはめなきゃってことでもないんだよね、当たり前だけども！事実、病院ではガイドラインはあまり役に立たなかった。もちろん参考や勉強にはなるけど、それを目の前の人に当てはめてしまうほど怖いことはないと気付いた。柔軟に、理論的であることがきっとその人のためにつながる。

それができたらすごく素晴らしいと思う。チーム医療ってなんなのか、本当の意味で私は知らなかった。薬剤師の倫理が何なのかも勘違いしていた。
想像以上に、病院内で薬剤師は必要とされているしまだ網羅しきれないほどの役割がある。仕事の制約とか劣等感がどうとかではなく、しがらみもなく、素直に他医療人を尊敬していいんだって分かった。安心して自分の目指すものに努力できると思った。自分の中で整理していなかったから分からなかったけど、病院実習でたぶんそれが一番嬉しかったことなんだろうな。